
2026年2月28日以降、中東情勢の緊張が急速に高まり、イランは湾岸地域に向けて大規模なミサイルとドローン攻撃を行った。
その主要な標的の一つとなったのがアラブ首長国連邦(UAE)だ。
UAE国防省の発表をもとにまとめると、4日間で1000発以上の飛来体がUAEに向けて発射された。
しかしその大部分は迎撃され、被害は比較的限定的だった。
攻撃の規模:ミサイルとドローン計1006
UAE国防省が発表した3月3日時点の最新累計は次の通り。
| 種類 | 検知 | 迎撃・破壊 |
|---|---|---|
| 弾道ミサイル | 186発 | 172発 |
| 巡航ミサイル | 8発 | 8発 |
| ドローン | 812機 | 755機 |
合計すると
1006の飛来体(ミサイル+ドローン)
となる。
それでも被害は発生
多くの攻撃は迎撃されたものの、被害は完全には防げなかった。
確認されている被害は
- 死者3人
- 軽傷68人
で、原因の多くは迎撃されたミサイルやドローンの破片落下だった。
また
- ドバイの港湾施設周辺で火災
- 建物への破片落下
- 空域閉鎖による航空便停止
など、都市機能への影響も報告されている。
UAEの防空は「多層防衛」
UAEが今回の攻撃を防いだ最大の理由は、複数の防空システムを組み合わせた「多層防衛」だ。
防空の仕組みは大きく4段階で構成される。
① 早期警戒
長距離レーダーでミサイルやドローンを探知。
② 指揮統制
指揮システムが
「どの迎撃システムがどの目標を撃つか」を決定。
③ 地上防空システム
高高度・中高度・低高度の複数層で迎撃。
④ 戦闘機
ドローンや巡航ミサイルを空中で撃墜。
UAE国防省は、戦闘機も迎撃に参加したことを明らかにしている。
UAEが保有する主な防空システム
UAEの空は「3〜4層の壁」で守られています。
1. 最上層:高高度弾道ミサイル専門「THAAD」(アメリカ製)

弾道ミサイルが目標に向かって落ちてくる最終段階で、直接体当たり(ヒット・トゥ・キル)して粉砕します。
UAEはアメリカ以外で初めて導入(2015年頃配備)。イランの長距離ミサイルを主に担当します。
2. 中層:パトリオットPAC-3(アメリカ製)+天弓Ⅱ(Cheongung II、韓国製)

中・低高度の弾道ミサイル、巡航ミサイル、航空機を迎撃。
パトリオットは戦闘実績豊富で複数基地に配備。
天弓Ⅱは2022年に導入され、2025〜2026年に実戦配備。
3. 最下層:短距離・ドローン専門「Pantsir-S1」(ロシア製)+SkyKnight(UAE国産)

高層の壁をすり抜けた低空ドローンや小型ミサイルを、ミサイル+機関砲の組み合わせで瞬時に撃墜。
ドローン群攻撃に特に強い。
その他のサポート
- イスラエル製「Barak-8」(中距離)
- 早期警戒レーダー「AN/TPY-2」(数百km先を瞬時に探知)
- F-16やMirage戦闘機もドローン・巡航ミサイルを直接撃墜
「鉄壁」ではない防空
今回の戦闘は、UAEの防空能力の高さを示した一方で、課題も浮き彫りにした。
- 迎撃率が高くても破片被害が発生
- ドローンが多数侵入
- 飽和攻撃への対応コスト
特にドローン812機という規模は、近年の戦争でも最大級のドローン攻撃の一つとされる。
UAEが示した「冷静な立場」
今回のイランによる大規模なミサイル・ドローン攻撃を受けながらも、UAE政府は強い軍事報復ではなく、冷静で抑制的な外交姿勢を強調している。
UAEの国際協力担当国務相リーム・アル・ハーシミ氏は、アブダビでの記者会見で「UAEの立場は常に慎重であり、軍事的な解決はさらなる危機を招くだけだ」と述べ、地域の緊張を拡大させる軍事対応には否定的な姿勢を示した。
同氏はまた、イランによる攻撃は地域の安全保障に対する重大な脅威だと非難しながらも、国連安全保障理事会が責任を持って対応すべきだと訴え、国際社会による外交的な解決を求めた。
UAE政府は同時に、自国の防衛については明確な姿勢も示している。
国防省は、軍が高度な防空能力を維持し、長期間の迎撃作戦を続けられる体制にあると説明し、「国家主権と安全が侵害されることは決して受け入れない」と強調した。
つまりUAEの立場は、
- 軍事的エスカレーションは望まない
- しかし自国防衛の権利は保持する
- 解決は外交と対話であるべき
という、いわば「抑制と防衛を両立させる戦略」である。
また政府は、食料や生活必需品は4〜6か月分の備蓄があり、社会インフラも通常通り機能していると説明し、住民に対して「パニック買いなどを避けるように」と呼びかけた。
ミサイル迎撃の音が響く状況の中でも、UAEは国家としての冷静さを保ち、外交的解決を模索する姿勢を強く打ち出している。
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