
みなさん、旅行好きの方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。ヨーロッパの「シェンゲン協定」のように、中東の湾岸諸国で1枚のビザで複数の国を自由に行き来できる時代が、ついにやってきます。
ここで話題なのが、GCC(湾岸協力会議)統一観光ビザ、通称「GCC Grand Tours Visa」です。2025年の後半に試験運用がスタート予定で、UAE(アラブ首長国連邦)、サウジアラビア、カタール、バーレーン、クウェート、オマーンの6カ国を、まるで国内旅行のようにスムーズに移動できるようになります。
GCCって何? 統一ビザの基本をおさらい
GCC(Gulf Cooperation Council)とは、1981年に設立された中東の6カ国による経済・安全保障の協力機構です。メンバー国は上記の通りで、石油資源が豊富な「湾岸の宝石」と呼ばれる豪華なリゾート地が揃っています。
これまで、各国ごとにビザを別々申請する必要がありましたが、統一ビザの導入でそれが一気に解消。まるでヨーロッパのシェンゲン圏のように、1回の入国審査で6カ国すべてをカバーできるんです。
このビザは、2023年末にGCC閣僚会議で正式承認され、2025年6月のリヤドでの閣僚会合で最終調整が進みました。試験運用(パイロットフェーズ)は2025年第4四半期(10月~12月頃)に開始予定で、まずは限定的に実施。本格運用は2026年以降の見込みです。
目的は、地域内の観光をブーストし、各国の経済を活性化させること。すでにGCC市民間ではビザなし移動が可能ですが、このビザはGCC在住の外国人住民(日本人駐在員なども含む)や観光客を対象に、移動のハードルを下げます。
どんなメリットがあるの? 日本人旅行者に嬉しいポイント
想像してみてください。ドバイのブルジュ・ハリファで朝食を食べて、午後にはアブダビのグランドモスクを訪れ、夕方にはアブダビのシェイク・ザイード・モスクで夕陽を眺め、夜はドーハのカタールでディナークルーズ…。そんなクロスカントリー旅行が、1枚のビザで実現! 現在、各国で別々のビザを取るのは手間と費用がかかりますが、統一ビザなら:
- 有効期間が長い:30日から90日程度(最終決定待ち)。複数国を回るのにぴったり。
- コストダウン:6枚のビザ代が1枚にまとまり、全体で安くなる見込み。
- 選択肢豊富:1カ国だけ、または6カ国すべてアクセス可能のオプションを選べる。
特に、日本人観光客には魅力的。GCC諸国はビザ免除やeVisaが比較的簡単ですが、複数国周遊でビザの切れ目が心配でした。これで、1回の旅行で中東の多様な文化・リゾートを満喫できます。サウジアラビアの古代遺跡から、オマーンの山岳地帯まで、まるでワンストップ・ツアーです。
これまでのビザ手間が解消! 日本人旅行者のリアルな悩み
日本人のパスポートは世界最強クラスで、GCC諸国へのアクセスは楽チン。でも、複数国を巡る周遊旅行では、各国ごとのビザルールがバラバラで、手続きが面倒でした。eVisaのオンライン申請を何度も繰り返したり、空港で到着ビザ(VOA)を待ったり…。フライトの接続がタイトな中東旅行で、ビザのタイミングずれがストレスに。しかも、手数料が積み重なってコストアップ。統一ビザで、これが1回の申請で済むようになります!
以下に、日本人向けの現在のビザ要件をまとめました(2025年10月現在)。ビザ免除が多い一方で、別々手続きの煩雑さがわかります。
国名 | ビザの種類 | 滞在可能期間 | 主な手続きのポイント |
---|---|---|---|
UAE | ビザ免除 | 90日 | 事前不要。空港でパスポート提示のみ。 |
サウジアラビア | eVisa / 到着ビザ (VOA) | 90日 | eVisaオンライン(数日かかる)。VOAは空港で追加料金約2,000円。 |
カタール | ビザ免除 / 無料到着ビザ | 30日 | ホテル予約証明で空港無料スタンプ。 |
バーレーン | eVisa / 到着ビザ | 30日 | eVisa推奨。到着ビザ手数料あり。 |
クウェート | eVisa / 到着ビザ | 90日 | eVisa事前が便利。イスラエルスタンプ注意。 |
オマーン | eVisa / 到着ビザ | 30日 | eVisaオンライン。到着OKだがカタール共同オプションも。 |
これで6カ国巡りだと、2〜3回のeVisa申請が必要で、数万円の出費も。統一ビザなら、そんな手間ゼロ!
申請はどうする? まだ調整中だけど…
詳細は試験運用で固まりますが、デジタルプラットフォーム(アプリやウェブ)でオンライン申請予定。要件はパスポート有効期限、健康証明、ホテル予約など標準的。UAEのAbdulla bin Touq Al Marri大臣は、GCC住民(エミレーツID保有者など)を主対象に、相互移動を強調しています。日本人観光客も対象で、セキュリティは各国共有でスムーズに。最新は各国大使館サイトをチェック!
UAEへの影響は? さらに旅行しやすくなる
UAEはGCCで観光大国。統一ビザで周辺国からの流入が増え、7首長国を結ぶ新観光ルートが整備中。
2026年のエティハド鉄道(旅客列車)運行で、ドバイ〜アブダビが電車で1時間! 日本人ビジネスマンも、UAE拠点の周遊が捗ります。
将来的にエティハド鉄道はGCC諸国にも接続する予定なので、この統一ビザが最大限に生かされること間違いなしです。
エティハド鉄道のGCC接続計画の概要
エティハド鉄道は、まずUAE国内の7つの首長国を結ぶ旅客鉄道として2026年に運行開始予定ですが、これがGCC全体の「GCC Railway Project」(GCC鉄道プロジェクト)の一部です。このプロジェクトは、UAE、サウジアラビア、カタール、バーレーン、クウェート、オマーンの6カ国を約2,000〜2,200kmの路線でつなぐ壮大な計画で、2030年頃の完成を目指しています。
- 具体的な接続ルート例:
- オマーンとの接続: Hafeet Rail(ハフィート鉄道)と呼ばれる238kmの路線で、オマーンのSohar港からUAEのアブダビ首長国へ直結。すでに建設が進んでいます。
- サウジアラビア方面: UAEの国境(Ghuwaifat)からサウジアラビアの産業都市へ延長し、将来的にリヤドやジェッダ方面へ。
- 他のGCC国: 全体として、湾岸沿岸の港湾・都市を結び、クウェートやバーレーン、カタールへの陸路アクセスを強化。総投資額は数兆円規模で、経済・観光の活性化を目的としています。
この計画は、2023年にエティハド鉄道のネットワーク拡張が始まったタイミングで加速しており、すでに建設の50〜70%が完了しています。
統一ビザとの相乗効果:なぜ生かされるのか?
GCC統一観光ビザ(2025年末試験運用開始)が6カ国間の自由移動を可能にする一方、エティハド鉄道のGCC接続は「陸路でのシームレスな旅」を加えることで、ビザの価値を爆発的に高めます。たとえば:
- ビザだけでは飛行機頼みだった移動が、鉄道でエコ&低コストに: 飛行機の乗り継ぎ手間が減り、ドバイからオマーンの山岳地帯やサウジアラビアの遺跡へ、列車で数時間でアクセス可能。観光客の滞在時間が延び、経済効果もアップ。
- 日本人旅行者へのメリット: 日本からの直行便(ドバイやドーハ経由)がUAE/カタールに集中しやすい中、鉄道で周遊すれば、ビザの30〜90日有効期間をフル活用。エコ志向の日本人にもぴったりです。
- UAEのポジション: UAEはGCCで最も観光インフラが整っているので、鉄道ハブとしてさらに魅力的に。統一ビザ+鉄道で、中東の「シルクロード2.0」みたいな体験が待っています。
ただし、接続の完全実現は2030年頃なので、ビザの試験運用(2025年)から本格活用までは数年かかります。それでも、ビザ導入で鉄道利用の基盤が整うのは間違いありません。
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