北部に位置するラス・アル・ハイマ（RAK）首長国は、2025年現在、UAEで唯一のカジノリゾート開発が許可され、2027年に開業予定。一方、ドバイとRAK間を結ぶ「空飛ぶタクシー」の運行が、わずか数年後にはスタートします。現在、車で2時間かかる距離を、わずか15分に短縮するこのサービスは、旅行の常識を変える可能性を秘めています。

空飛ぶタクシー：ドバイ-RAK間を15分で結ぶ未来の交通革命

このカジノリゾートへのアクセスを劇的に向上させるのが、米ジョビー・アビエーション社と英スカイポーツ社が主導する「空飛ぶタクシー」サービスです。2025年9月、RAK運輸局（RAKTA）と3社が覚書（MoU）を締結し、2027年の運行開始を発表しました。

これは、ドバイでのサービス（2026年3月31日開始予定）と連動したもので、UAE全体のモビリティネットワークを強化する一環です。

サービス概要は以下の通りです：

• ルートと所要時間：ドバイからRAKの2つの主要スポット（ジベル・ジャイス山岳地帯と、ウィン・リゾートに隣接するアル・マルジャン島）まで。車での2時間ドライブが、最高時速321km/h（約200mph）のフライトで15〜20分に短縮されます。
• 機体と環境性能：ジョビー社の電気垂直離着陸機（eVTOL）を使用。パイロット1名＋乗客4名収容で、騒音を最小限に抑え、ゼロエミッションを実現。短距離移動に最適な「静かでクリーン」な選択肢です。
• 料金：片道200〜300ドル（約3万〜4.5万円）と、タクシー料金（約150〜200ドル）と比べて競争力あり。スカイポーツCEOのダンカン・ウォーカー氏は、「幅広い層が利用可能」と強調しています。
• インフラ：RAKに2つの「バーティポート」（垂直離着陸場）を建設。ドバイ側はドバイ国際空港、マリーナ、パーム・ジュメイラ、ドバイ・モールに4カ所を整備中です。

このサービスは、RAKの「2030年モビリティ・マスタープラン」に沿ったもので、首長国内のローカル便も予定。ドバイ空港からウィン・リゾート直行便が実現すれば、観光客の利便性が格段に向上します。将来的には、アジャマン首長国との提携が決定し、シャルジャやアブダビとの接続も議論中です。

RAKのカジノリゾート：UAE初の「ラスベガス級」エンターテイメント拠点

RAKは、UAEの7つの首長国の中でも自然豊かな北部地域にあり、近年観光開発が加速しています。特に注目されているのが、アル・マルジャン島に建設中の「ウィン・アル・マルジャン・アイランド」リゾートです。

今回、空飛ぶタクシーが離着陸する、RAKに2つ作られる「バーティポート」（垂直離着陸場）の内の１つは、カジノ施設が作られているウィン・リゾート内、またはウィン・リゾートに隣接する予定です。

このリゾートは70階建ての豪華タワーで、総工費は約40億ドル（約6,000億円）と推定され、2027年3月の開業を目指しています。

施設内には24軒のレストラン、5つ星スパ、高級ショッピングエリア、無限プール、マリーナ、プライベートビーチが揃い、カジノフロアはラスベガスのウィン・リゾーツを彷彿とさせる豪華さです。すでに複数のレストランコンセプトが発表されており、ミシュラン級のダイニング体験も期待されています。

UAEの未来：カジノと空飛ぶタクシーがもたらす経済効果

RAKの開発は、UAEの観光・エンタメ産業を多角化する象徴です。カジノリゾートの開業と空飛ぶタクシーの同時進行により、ドバイのビジネスパーソンや日本人を含む国際観光客が、気軽にRAKへ足を運べるようになります。環境負荷の低い交通手段が採用される点も、持続可能な成長を志向するUAEの姿勢を表しています。

日本人観光客にとっても、ドバイ経由でアクセスしやすく、ギャンブルとリラクゼーションを兼ね備えた新名所になるでしょう。