
2025年9月6日頃、紅海の海底で重要なインターネットケーブルが切断され、中東やアジアのいくつかの国でインターネット接続が大幅に遅くなったり、使えなくなったりするトラブルが発生しました。特にアラブ首長国連邦(UAE)では、住民の日常生活や仕事に大きな影響が出ています。
何が起こったのか?
紅海の海底ケーブルは、ヨーロッパ、アフリカ、アジアを結ぶ重要な通信ルートです。このケーブルが複数切断されたため、UAEをはじめ、インド、パキスタン、サウジアラビアなどの国でインターネット速度が急激に低下しました。切断されたケーブルは、主に「SMW4」と「IMEWE」というシステムで、サウジアラビアのジェッダ近くで問題が起きたとされています。
UAEの通信会社「Du」と「Etisalat」の顧客からは、9月6日夜から自宅のブロードバンドやモバイルサービスが非常に遅くなり、多くのウェブサイトやアプリが読み込めないという苦情が殺到しました。インターネット監視団体のNetBlocksによると、UAEのEtisalatとDuのネットワークで速度低下と断続的なアクセス障害が観測され、地域全体の接続が悪化しました。
インドとパキスタンでも同様の被害があり、パキスタン通信会社は土曜日にケーブル切断を公表しました。一方、サウジアラビアは公式コメントを出していません。Microsoft社のクラウドサービス「Azure」も影響を受け、世界の17%のトラフィックに影響が出たとの報告がありますが、すぐに代替ルートに切り替えて対応しました。
9月7日(日曜日)朝にはサービスが少しずつ改善し始めましたが、9月8日(月曜日)現在も一部で遅延の報告が続いています。専門家によると、修理には数日から数週間かかる可能性があり、完全復旧まで時間がかかる見込みです。
原因は?
原因はまだはっきりしていません。過去の事例では、船の錨(いかり)が海底に落ちてケーブルを切ってしまう事故が約70%を占めています。一方で、紅海ではイエメンのフーシ派反政府勢力による攻撃の懸念もあります。フーシ派は過去にケーブル攻撃を否定していますが、2024年3月にはフーシ派が攻撃した船「Rubymar」の錨が海底を引っ張ってケーブルを切断した事例がありました。2023年11月から2024年12月にかけて、フーシ派はイスラエル・ガザ紛争に関連して100隻以上の船を攻撃し、今年もいくつかの攻撃を続けています。
ただし、今回の事件でフーシ派の関与が確認されたわけではなく、事故の可能性が高いとみられています。紅海は船舶の交通量が多く、修理作業もフーシ派の攻撃リスクがあるため、困難を極めます。
通信会社の対応
UAEのDu社は、ソーシャルメディア上で顧客からの問い合わせに次々と対応し、9月7日に公式声明を発表しました。「国際海底ケーブルの切断によりデータサービスが遅くなる可能性があります。私たちの技術チームが国際プロバイダーと協力して問題を解決中です。最新情報を更新します」と述べています。
Etisalat社も同様に、「国際海底ケーブルの中断によりデータサービスが遅くなる可能性があります。技術チームが問題を解決中です。ご理解とご協力をお願いします」とX(旧Twitter)でメッセージを発信しました。
Microsoft社は9月7日早朝に、「海底ファイバー切断により中東で遅延が発生する可能性があります。顧客への影響を最小限に抑えるため、ルーティングを監視・最適化します」と発表しました。
今後の見通し
サービスは徐々に回復していますが、完全復旧までには時間がかかるでしょう。UAE在住の日本人 expatriate(駐在員)の方々は、仕事や家族との連絡に影響が出ているかもしれません。最新情報は各通信会社の公式サイトやNetBlocksなどの監視サイトで確認してください。
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