アラブ首長国連邦（UAE）で2025年5月、気温が50℃を超える記録的な猛暑が襲いました。特にスウェイハンでは51.6℃を記録し、5月の過去最高気温を更新。この異常な暑さの背景には、気候変動や地域特有の気象現象が影響していると考えられています。

どんな猛暑だったのか

2025年5月24日と25日の2日連続で、UAEは5月の過去最高気温を更新しました。アブダビ近郊のスウェイハンで観測された51.6℃は、2009年に記録された50.2℃を大幅に超えるものでした。この気温は、UAEの夏のピーク（7月頃）に匹敵する異常な暑さで、夏の公式な開始（6月21日）よりも1か月以上早い時期に発生した点が注目されています。

スウェイハンの位置はアブダビとアル・アインの中頃、ドバイからは南に位置する内陸のエリアです。

この猛暑は、UAEに住む人々にとって日常生活に大きな影響を与えており、スウェイハンの住民からは外にいると「まるでオーブンの中にいるようだ」と表現されるほどの過酷な暑さです。

なぜこんなに暑くなったのか

今回の猛暑には、いくつかの要因が絡んでいます。以下に主な原因をわかりやすく解説します。

(1) 気候変動の影響

UAEを含む中東地域は、地球全体の平均よりも約2倍の速さで温暖化が進んでいます。2022年のGreenpeaceの報告によると、1980年代以降、10年ごとに気温が0.4℃上昇。この影響で、UAEの夏は従来より10日以上長くなり、将来的には半年近く続く可能性も指摘されています。

ハリファ大学のダイアナ・フランシス博士は、「この暑さは気候変動による長期的な温暖化と、短期的な熱波が重なった結果」と分析しています。実際に、2025年4月も過去最高の平均気温（42.6℃）を記録し、暑い季節が早く訪れていることがわかります。

(2) アラビア熱低気圧

UAEの猛暑には、アラビア熱低気圧（Arabian Heat Low）という気象現象も関わっています。この現象は通常、夏に発生し高温をもたらしますが、2025年は5月という早い時期に7月並みの強さで発達。これが記録的な高温の一因となりました。

(3) エルニーニョの影響

2024年にエルニーニョ現象が終わり、2025年の春はUAEで雨がほとんど降らず、土壌が非常に乾燥しました。この乾燥した状態が、熱をさらに増幅させる要因に。特に内陸部のスウェイハンでは、海からの涼しい影響が届きにくいため、気温が急上昇しました。

世界と比べるとどうなのか

UAEの51.6℃は非常に暑いですが、世界最高記録には及びません。参考までに：

• 世界最高気温：1913年、アメリカのデスバレーで56.7℃（ギネス世界記録）。
• 最近の記録：2024年、デスバレーで54.4℃が観測。
• 過去の疑問記録：1922年、リビアで58℃が記録されましたが、後にデータの信頼性が否定されました。

UAEの気温は世界記録に比べるとまだ低いものの、5月に50℃を超えるのは異例で、地域の気候が極端化している証拠です。

今後の見通しは

最新の情報（2025年5月28日時点）によると、UAEの気温は一時的に低下するそうです。

ただし、気候変動の影響で、今後も同様の猛暑が頻発する可能性が高いとされています。特に中東地域は、水不足や食料供給への影響が懸念されており、国際的な対策が急務です。

この状況は、地球温暖化がもたらす異常気象の深刻さを示しています。日本でも、5月に30℃以上を記録するなど、世界的に環境問題への意識を高めるきっかけとして、このニュースを参考にしてみてください。