急増する人口と車両数
ドバイでは、人口増加と車両数の増加により、2024年には前年より2時間多い35時間を交通渋滞で失ったとされています。2022年と比較すると、交通渋滞による損失時間は45パーセントも増加しているとのことです。
人口の急増は2021年1月以降だけでも37万8,000人にのぼり、パンデミック後の経済急成長による外国人流入が主な要因とされています。また、有料道路料金所「サリック」のデータによれば、マクロ経済の成長を背景に登録車両数は前年比8.7%増の430万台に達しました。
インフラ整備への取り組み
こうした急増する人口と車両に対応するため、ドバイ首長国ではインフラ整備を進めています。総工費37億ディルハムを投じ、634キロメートルの新たな道路を建設する5カ年計画(2025〜2029年)を承認し、さらなる交通網の拡充を目指しています。
フレックスタイム制とリモートワークによる渋滞緩和
また、交通渋滞対策の一環として、フレックスタイム制やリモートワークの導入・拡充も図られています。調査結果によると、こうした取り組みによって首長国内の朝のピーク時における移動時間を30パーセント短縮できる可能性が示唆されています。
世界各国との比較
世界の渋滞ランキングで見ると、ドバイの順位は154位と比較的低い水準にとどまっています。たとえば、アメリカのドライバーは渋滞で年間43時間(約1週間分の労働時間)、金額に換算すると771ドル分の時間を失っています。イギリスのロンドンでは平均61時間で581ポンド相当、ドイツでは平均43時間で約470ユーロ相当の時間を失っているとされています。
今後の展望と課題
急激な経済成長と人口増加の波にさらされるドバイでは、インフラ整備や柔軟な働き方の推進が今後さらに重要になるでしょう。世界的に見れば渋滞順位は比較的低いものの、都市のさらなる発展に伴う交通需要の増大は避けられません。こうした課題への取り組みと持続可能な都市交通の実現が、今後のドバイの評価を左右することになりそうです。