ドバイのいたるところにある人工湖やプール、生活用水はもちろん、雨がほとんど降らない砂漠の都市ドバイの水源は何かご存じですか?
ドバイは乾燥地帯に位置し、自然な淡水資源が非常に限られているため、水源の確保は大きな課題となっています。この課題に対処するため、ドバイは主に以下の方法で水源を獲得しています。
海水淡水化
ドバイの主要な水資源の一つは海水淡水化です。
このプロセスでは、海水から塩分を取り除き、飲料水や農業用水に適した水を生成します。
海水淡水化には主に二つの方法があります:「蒸留法(MSF)」と「逆浸透法(RO)」。
- 蒸留法(MSF)
オーソドックスな手法でもある蒸留法は海水を沸騰させて蒸気を生成し、その後冷却して淡水に変換する方法です。
この方法はエネルギー消費が高いが、大量の水を供給することが可能です。 - 逆浸透法(RO)
簡単に言うと膜で水の分子以外の不純物を取り除く「ろ過」です。
逆浸透と呼ばれる技術で、海水を高圧で特殊な膜を通過させて塩分を除去します。
逆浸透は蒸留法に比べてエネルギー効率が良く、より持続可能な選択とされています。
ちなみに「ろ過」に使う膜は日本企業が開発した物が使われています。
再生水
ドバイでは、再生水の利用も水資源戦略の重要な部分を占めています。処理された廃水は、主に農業や緑化、工業用水として再利用されます。この方法により、淡水資源の消費を削減し、持続可能な水管理に貢献しています。
ダウンタウンドバイにある世界最大の噴水と言われる「ドバイ・ファウンテン」の湖の水は、日本企業である日立のRO(逆浸透)膜とMBR(膜分離活性汚泥法)を組み合わせた技術で再生水プラントより供給されています。
人工降雨
人工降雨は、雲に種をまき、自然にはない降雨を誘発する技術です。ドバイでは、特にドローンを利用した電気放電法が注目を集めています。
この方法では、ドローンを用いて雲にレーザー光線を照射して帯電させることで、水滴の凝結を促進し降雨を引き起こします。この技術は、従来の飛行機による散布法に比べてコスト効率が良く、より環境に優しいという利点があります。
しかし雨に慣れておらず、排水整備が行き届いていないドバイならではの問題もあります。
サステナブル・シティ
「サステナブル・シティ」とは、持続可能な開発を目指す都市のコンセプトです。ドバイにおいても、この考え方は水資源管理に重要な役割を果たしています。
例えば、再生可能エネルギーの利用、水の再利用や節水技術、緑地の増加などがサステナブル・シティの一環として取り入れられています。
ドバイではこれらの方法を組み合わせることで、限られた自然資源の中で持続可能な水資源管理を実現しようとしています。特に海水淡水化は、ドバイにおける水供給の主要な方法となっており、将来的にも重要性を増していくと考えられます。
砂漠の都であるドバイでは水は豊かさの象徴かのように人工湖やプールなど湯水のごとく利用されています。
しかし、その影には再利用や節水技術など、持続可能な水資源管理への取り組みがあるからこそ可能だということがわかりました。