
近年、アジアの富裕層にとって人気の移住先だったシンガポールが、移民審査の厳格化を進める中、中国の富裕層が新たな選択肢として中東のドバイやアブダビに目を向けています。Financial Timesの報道によると、家族オフィス(富裕層の資産管理会社)の設立を軸に、UAE(アラブ首長国連邦)での長期滞在を求める問い合わせが急増。
背景には、中国本土や香港のビジネス環境の不安定さ、さらにはシンガポールの審査遅延や拒否率の上昇があります。
シンガポールの「厳格化」が引き金に
シンガポールは長年、富裕層の「セカンドホーム」として人気を博してきました。政府の税制優遇や安定したビジネス環境が魅力で、2024年末時点で家族オフィスの数は2,000を超え、前年比43%増と急成長を遂げました。
しかし、2023年に発覚した巨額マネーロンダリング事件(中国福建省出身者関連)がきっかけで、中国人申請者への審査が一段と厳しくなりました。これは、高所得者向けの永住権ルート(ファミリーオフィスなど)が不正に利用されることへの懸念に対応するものです。
シンガポールのプライベートバンカーによると、「家族オフィス設立は雇用ビザ取得の近道ですが、永住権や市民権は別問題。政府は『適切な人材』を選別し、単なる資金だけでは通じなくなりました」とのこと。
ドバイの魅力:ゴールデンビザと「軽い」税制
一方、UAEは「ゴールデンビザ」と呼ばれる10年有効の長期ビザを武器に、富裕層を引きつけています。このビザは投資家、高度人材、家族に開放されており、2022年に約8万件発行されたものが2025年現在も勢いを保っています。
取得条件は不動産投資(最低200万ドル程度)やビジネス設立などで、税制も法人税9%と低く、予測しやすい点が評価されています。
ドバイ国際金融センター(DIFC)では、家族関連企業の登録数が2023年の600から2025年半ばの1,000に増加。中国人比率が高いとみられ、資産50~200百万ドルの「中堅富裕層」(起業家中心)が主なターゲットです。
スタンダードチャータード銀行のマイク・タン氏は、「東アジアクライアントからのドバイ問い合わせが急増。GCC(湾岸協力会議)諸国は安定した居住ステータスを提供できる」と語ります。
さらに、Lighthouse Cantonのプラシャント・タンドン氏は「マンダリン語や広東語を話す専門家が不足するほど急激な流入」と指摘。シンガポールの不動産を売却してUAEに再投資するケースも増えています。
| 項目 | シンガポール | UAE(ドバイ) |
|---|---|---|
| 家族オフィス数(2025年時点) | 2,000超 | DIFCで1,000(急増中) |
| ビザ取得しやすさ | 雇用ビザは容易だがPR承認率8.25% | 10年ゴールデンビザ(投資家向け) |
| 税制 | 法人税17%、審査厳格 | 法人税9%、予測しやすい |
| 中国人流入の特徴 | 審査強化で減少傾向 | 問い合わせ急増、起業家中心 |
暗号通貨分野でもドバイ優位
このシフトは暗号通貨起業家にも及びます。ドバイの仮想資産規制当局(VARA)は2025年現在、39社にフルライセンスを発行し、革新的な環境を整備。一方、シンガポールの金融管理局(MAS)は36件のデジタル決済ライセンスを認めつつ、無許可プラットフォームへの取り締まりを強化しています。
Wrise Privateのケビン・テングCEOは、「シンガポールはリスク回避志向が強まり、クライアントは規制の開放的な中東へシフトしています」と分析。ドバイはブロックチェーン産業のハブとして、グローバル投資を呼び込む戦略を進めています。
ドバイのエコシステムはシンガポールに比べてまだ発展途上ですが、規制の柔軟さと速やかな審査が勝因です。中国人富裕層のUAE流入は、観光・投資を活性化させ、UAE経済に寄与する見込み。
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