
アラブ首長国連邦(UAE)は、2026年1月1日から、砂糖入り飲料に対する消費税(エキサイズ税)のルールを大幅に変更します。現在はすべての対象飲料に一律50%の税率がかけられていますが、新制度では飲料1本あたりの糖分含有量に応じて税率が階層的に変わる「階層型ボリュメトリックモデル」が導入されます。
この変更は、湾岸協力会議(GCC:サウジアラビアやクウェートなど6カ国が加盟する地域経済ブロック)の統一基準に合わせたもので、公衆衛生の向上を目的としており、この税制変更でスーパーやコンビニの清涼飲料水の価格が少し変わるかもしれません。以下で詳しく解説します。
現在の税制と新制度の違いは何?
UAEでは2017年から、砂糖入り飲料や炭酸飲料に50%の高税率を課す「砂糖税」が導入され、肥満や糖尿病の予防を狙ってきました。しかし、これまでは飲料の種類や価値に基づく一律税(アドバローレム税)で、糖分量を細かく考慮していませんでした。
新制度では、飲料100mlあたりの糖分(総糖類と甘味料の合計)で3段階に分類されます。糖分が多いほど税率が高くなり、メーカー側に低糖分商品の開発を促す仕組みです。具体的な分類は以下の通りです:
分類 | 糖分含有量(100mlあたり) | 税率の目安 |
---|---|---|
高糖分 | 8g以上 | 最高税率(詳細は閣議決定待ち) |
中糖分 | 5g以上~8g未満 | 中間税率 |
低糖分 | 5g未満 | 最低税率 |
※人工甘味料(アスパルテームやステビアなど)のみの飲料は税率0%、自然糖のみの飲料(例: 100%果汁)は非課税です。一方、エネルギードリンクは従来通り100%税率のままです。税率の具体的な数字はまだ正式発表されていませんが、糖分量に比例してボリューム(容量)あたり課税されるため、甘いジュースほど割高になる見込みです。
このモデルはGCC全体で採用されるもので、UAEの財務省は「包括的な法規制基盤を整備し、2026年1月1日からスムーズに実施する」と発表しています。移行期間中は、在庫品については旧税率を適用可能になるそうです。
なぜ今、この変更を?
UAE政府の狙いはシンプルです。飲料メーカーが糖分を減らすインセンティブを与え、消費者に健康的な選択肢を提供すること。GCC諸国では肥満率が世界的に高く(成人約30%超)、糖尿病患者も急増中です。
この税制は、英国やメキシコの砂糖税成功事例を参考に、地域全体の健康戦略の一環として位置づけられています。日本でも似たような「健康増進税」の議論がありますが、UAEのように税率を糖分量に連動させるのは先進的ですね。
日常生活への影響は?
- 消費者側:低糖分飲料(例: ダイエットコーラや無糖緑茶)が相対的に安くなり、健康志向の人が得をしそう。逆に、甘い炭酸飲料は1本あたり数ディルハム(約50円~)値上がりする可能性があります。
- メーカー側:糖分分析のためのラボ検査が義務化され、商品改革を迫られます。すでにコカ・コーラやペプシなどの大手は、低糖分バージョンを増やしています。
- 輸入・販売事業者:税務当局(FTA)への登録更新が必要で、2025年末までに準備を急ぐことに。
UAEはドバイやアブダビのような国際都市として、観光客や駐在員が多い国です。この税制が定着すれば、中東全体の「ヘルシーシフト」が加速し、日本企業にとっても低糖分商品の輸出チャンスになるかもしれません。
その他のドバイの記事

ドバイの金価格、2025年10月13日に過去最高水準に接近

ドバイの「フリーゾーン企業」が本土で自由に事業展開できる新許可制度スタート

ドバイの、アトランティス・ザ・パームの新水族館「ロスト・ワールド水族館」が10月27日オープン

ドバイ、アル・クオズ・バスターミナルからアブダビ直行バス開始

GCC統一観光ビザが2025年に試験運用開始、6か国間での移動が自由に

ドバイから、カジノができるRAKまで空飛ぶタクシーの運行も開始予定

2025年10月のドバイ情報

ドバイ、エミレーツモール近くの住宅ビル火災にドローン投入鎮圧

エミレーツ航空、10月から機内でのモバイルバッテリー使用を全面禁止に

夏が終わりドバイの屋外アトラクションがまもなく再開

世界一高いホテル「シエル・ドバイ・マリーナ」が2025年11月にオープン

UAE、イスラエル防衛企業のドバイ展示会への参加を禁止に

UAEなど地域諸国、カタールへのイスラエル「卑劣な」攻撃を非難

ドバイでケーキの屋内フェスティバルが一日限定で開催

ドバイの緊急電話番号・便利な電話番号【観光・住民 保存用】

紅海の海底ケーブル切断でUAEなど中東・アジアの一部インターネットに影響

ベースボールユナイテッド「ミッドイースト・ファルコンズ」ロースター発表!日本人選手が多数参加

ナキール・モールが改名、パーム・ジュメイラ・モールでリニューアル

人気ゲームRoblox、UAE含む中東地域でのゲームチャット機能を子供保護のため一時停止
