2025年7月16日、ドバイが世界で初めて、人間とAIが制作したコンテンツを明確に区別する「Human–Machine Collaboration (HMC) classification system」を発表しました。このシステムは、研究やクリエイティブな作品において、どの部分を人間が作り、どの部分をAIが担ったのかを透明に示すためのものです。ドバイのハマダン・ビン・モハメド・ビン・ラシド・アール・マクトゥーム副首長が承認し、ドバイ未来財団が開発したこの取り組みは、情報の信頼性を高め、AI時代の新たな基準を目指しています。

システムの目的：人間とAIの役割を明確に

AI技術が急速に進化する中、研究論文や記事、デザインなどのコンテンツが「誰によって作られたのか」をはっきりさせることは、信頼性を保つために重要です。このシステムは、人間とAIの役割を明確に示すことで、読者や視聴者がコンテンツの背景を正しく理解できるようにします。ドバイは、この取り組みを世界中の研究者やクリエイターに広め、倫理的で透明なAI利用を推進しようとしています。

どうやって分類するの？

5つの主要アイコンこのシステムでは、コンテンツの制作における人間とAIの関与度を5つのアイコンで示します。以下は、その簡単な説明です：

1. All Human（完全に人間）：人間だけで作られ、AIは一切関与していない。
2. Human Led（人間主導）：人間が中心となって作り、AIがチェックや修正を補助。
3. Machine Assisted（AI補助）：人間とAIが協力して制作。
4. Machine Led（AI主導）：AIが中心となって作り、人間が品質を確認。
5. All Machine（完全にAI）：AIだけで作られ、人間は関与していない。

どんな場面で使われる？9つの機能的アイコン

さらに、制作プロセスのどの部分でAIが使われたかを示す9つのアイコンもあります。たとえば、以下のような段階です：

• 着想（アイデア出し）：新しいアイデアを考え出す段階
• 文献調査：過去の研究や資料を集める
• データ収集・分析・解釈：データの取り扱い
• 執筆・翻訳：文章を書く、翻訳する
• ビジュアル・デザイン：画像やデザインを作成

これらのアイコンは、研究論文の表紙やウェブサイト、動画などに表示され、どの部分でAIが使われたかを一目でわかるようにします。

ちなみに今回この記事のイメージ画像の右下に入っているアイコンそれにあたります。

ドバイでの導入と世界への呼びかけ

ドバイでは、すべての政府機関がこのシステムを研究や知識ベースのプロジェクトで使うことが義務付けられています。さらに、ドバイ未来財団は、世界中の研究者、作家、デザイナー、クリエイターにこのシステムを採用するよう呼びかけています。この取り組みは、AIが広く使われる現代において、情報の透明性を確保するグローバルな基準となることを目指しています。

なぜこれが大事なの？

AIが進化するにつれ、誰がコンテンツを作ったのかを見分けるのが難しくなっています。たとえば、AIが書いた記事や生成した画像が人間の作品として扱われると、誤解や信頼性の問題が生じる可能性があります。このシステムは、そうした問題を防ぎ、AIと人間の協力を正直に伝えることで、情報の信頼性を高めます。ドバイの副首長は、「このシステムは、責任あるイノベーションの新たな基準となる」と述べ、グローバルな採用を期待しています。

日本への影響は？

日本でも、AIを使った研究やクリエイティブな活動が広がっています。このシステムが世界的に広まれば、日本の研究者や企業も、論文や製品にこうしたアイコンを表示するようになるかもしれません。たとえば、AIがデザインした商品や、AIが補助した論文にアイコンを付けることで、消費者がその背景を理解しやすくなります。

ドバイの「HMC分類システム」は、AIと人間の役割を透明にすることで、情報の信頼性を守る画期的な取り組みです。5つの主要アイコンと9つの機能的アイコンを使い、コンテンツの制作過程をわかりやすく示します。ドバイから始まったこの動きが、世界中で新たな標準となる日も近いかもしれません。興味がある人は、ドバイ未来財団のウェブサイト（リンク）で詳細を確認してみてください。