今や世界中で話題になっているとも過言ではない、「ドバイチョコレート」。
巷で「ドバイチョコレート」と呼ばれるようになり、類似品が大量に出回っていますが、発祥元である本家「FIX Dessert Chocolatier」についてはご存じでしょうか。
今回は原点であるFIX Dessert Chocolatierについてです。
FIX Dessert Chocolatierの始まり
ドバイ在住のイギリス系エジプト人のサラ・ハムーダさん(Sarah Hamouda)は副業として2021年にFIXチョコレートバーを始めました。
そもそもの始まりは、サラさんが第2子を妊娠中に「既存のスイーツでは満足できない!」という個人的な欲求を満たすために考案した、贅沢な“超詰め込み”チョコレートバーでした。
さまざまな風味と食感が重なり合うその独創的な味わいは、懐かしい思い出を呼び起こしつつ、誰もが驚くような新しさを感じさせます。
SNSを席巻したバイラルのきっかけ
FIXが一気に注目を浴びたのは、2023年12月に食のインフルエンサー、マリア・ヴェヘラ(Maria Vehera)さんがTikTokで投稿した動画が爆発的に拡散したことです。
緑色のクリーミーなフィリングがとろける映像が世界中で話題となり、これを機に「ドバイまで行って手に入れたい!」という旅行者が続出しました。
実はその前に、アメリカの歌手クリスティーナ・ミリアンさんがSNSで紹介していたこともあり、知る人ぞ知る逸品として徐々に人気を集めていたようです。
サラさんにとっては、「これは本当に特別なものかもしれない」と実感した瞬間だったそうです。
@mariavehera257 @fixdessertchocolatier WOW, JUST WOW!!! Can’t explain how good these are! When a chocolate, a dessert and a piece of art meet this is what you get! 🍫 "Can't Get Knafeh of it," "Mind Your Own Busicoff," and "Crazy Over Caramel." Order on Instagram Chatfood or Deliveroo and let me know what’s your FIX? Instagram : fixdessertchocolatier #asmr #foodsounds #dubai #dubaidessert ♬ оригинальный звук – mariavehera257
「FIX」ならではの味とビジュアル
FIXチョコレートの魅力は、単なるチョコレートの枠を超えた“体験”にあるといえます。
代表的なフレーバーとしては、ピスタチオとタヒニ(白胡麻ペースト)のフィリングをカリカリ食感のカダイフ生地(knafeh)に合わせた「Can’t Get Knafeh of It」、白チョコレートでクランチーなロータスチーズケーキを包んだ「Mind Your Own Buiscoff」、シナモン香るフィロ生地とバニラカスタード、キャラメル、ピーナッツバターを組み合わせた「Butter to Be Safe than Salty」など、名前からしてユニークなものばかり。さらに、チョコレートの表面には食用ペイントでデザインが施され、まるでアート作品のような華やかさも特徴です。
中でもサラさん自身のお気に入りは、幼少期から慣れ親しんだ味として「カダイフ生地のバー(knafeh bar)」や、甘じょっぱさが絶妙な「Pick Up A Pretzel」なのだそう。また、ドバイ皇太子のシェイク・ハムダン(Sheikh Hamdan bin Mohammed bin Rashid Al Maktoum)殿下が特別なコラボバーを持っていることも話題を呼び、ドバイのブランドとして一層注目が高まっています。
入手困難な“限定感”と販売スタイル
これだけ話題になりながらも、FIXチョコレートは現時点ではドバイ限定のデリバリー販売のみ。Deliverooのオンラインプラットフォームで、毎日14時と17時に販売枠が開放されますが、わずか数分で完売するほどの人気ぶりです。ハンドメイドで丁寧に作られるため生産量が限られており、それが「チョコレート版ウィリー・ウォンカのゴールデンチケット」とまで呼ばれる希少性につながっています。
オーダーが殺到する時間帯には注文票の印刷音が鳴りやまないと、サラさんも嬉しい悲鳴をあげているそうです。
中東と西洋の融合、子どもも大好きな味
「FIXは中東と西洋のフレーバーを掛け合わせ、そこに自分や家族の思い出を重ねたストーリーを込めている」とサラさんは語ります。実際、彼女の子どもたちもそれぞれお気に入りのフレーバーを持っているそうで、「7歳の長女はカダイフ&ピスタチオに夢中、3歳の次女はシェイク・ハムダンのコラボバーが大好き」とのこと。SNSや口コミを通じて、世界中の人々が「懐かしさ」と「新鮮さ」が同居する不思議な味の虜になっています。
今後の展望:国際展開はあるのか?
急増する需要に応えるために、FIXではスタッフの増員やキッチンの拡大など、生産体制を整えている真っ最中です。
今後は国際市場への進出にも興味があるとサラさんは明かしますが、「品質やブランドイメージをしっかり守りながら、ゆっくりと拡大していきたい」とのこと。
また、ヴィーガン対応やアレルギー対応のフレーバーも検討中で、より多くの人にFIXを楽しんでもらえるように準備を進めているそうです。
ドバイの多文化的なエネルギーとサラさんの個性的なアイデアが詰まったFIXチョコレートは、まさに“新時代のデザート”と言っても過言ではありません。
中東の伝統的な素材から西洋のポップな発想までを巧みに融合し、SNS時代にふさわしい話題性と希少価値、そして何よりおいしさを兼ね備えたこの逸品は、今後さらに注目を集めることでしょう。
もしドバイを訪れる機会があれば、ぜひ14時と17時の販売開始時刻を狙って「ドバイチョコレートの元祖 FIX」を手に入れてみてください。あっという間に売り切れてしまうかもしれませんが、一口頬張れば、その人気に納得するはずです。