
イスラエルとアメリカが2月28日に始めたイランへの戦争が、急激にエスカレートしています。3月18日(現地時間)、イスラエルがイランの南パルスガス田(世界最大の天然ガス田)を攻撃したところ、イランが即座に報復。カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアなどの湾岸諸国のエネルギー施設にミサイル攻撃を仕掛けました。これにより、世界の天然ガス供給が大きく乱れる危険が出てきています。
何が起きたのか?
- イスラエルの攻撃
イスラエルはイラン南部のブシェフル州にある南パルスガス田施設を攻撃。火災が発生しましたが、イラン側は「制御された」と発表しました。このガス田はイラン国内の天然ガスの約70〜80%をまかなう超重要施設で、イランとカタールが海を挟んで共有しています(カタール側は「ノースドーム」と呼ぶ)。
- イランの即時報復
イランは「湾岸諸国に米軍基地があるから」と主張し、3月19日早朝に以下の攻撃を実行:- カタール:世界最大級のLNG(液化天然ガス)施設があるラス・ラファン工業地帯にミサイル直撃。火災が発生し「広範な被害」。カタールは生産を停止せざるを得なくなり、イラン大使館の軍事・保安担当者を国外追放しました。
- UAE:ハブシャンガス施設とバブ油田にミサイルの破片が落下。施設を一時停止。
- サウジアラビア:首都リヤドに向けた弾道ミサイル4発を撃ち、ガス施設も狙い撃ち。サウジはすべて迎撃しましたが、被害の可能性あり。
- その他:クウェートやバーレーンでも攻撃の報告。
イラン革命防衛隊は「報復はまだ終わっていない。もう一度攻撃すれば、湾岸諸国のエネルギー施設を完全に破壊する」と警告しています。
トランプ大統領の反応 「アメリカは関係ないが…」
アメリカのドナルド・トランプ大統領はSNSでこう発信:
- 「アメリカはイスラエルの南パルス攻撃に一切関与していない」
- 「でも、イランがカタールのLNGをまた攻撃したら、南パルスガス田全体をアメリカが大規模に爆破する。ためらわない」
トランプ氏は「イランにこれ以上の破壊は望まないが、必要ならやる」と強い警告を出しました。一方、イラン外務大臣は「次に攻撃されたら一切の自制はしない」とX(旧Twitter)に投稿。トルコ・エジプト・パキスタンとも電話協議し、共同対応を呼びかけています。
国連:湾岸諸国のエネルギー関連攻撃「危険な局面」
国連の人権責任者は、湾岸地域の主要エネルギー施設への攻撃が「危険な局面」に入りつつあると述べた。
「イランのサウスパルスやカタールのラス・ラファンなど、エネルギーインフラへの攻撃は、苦難をさらに悪化させるだけだ」と、国連人権高等弁務官のフォルカー・ターク氏は述べた。
「このような攻撃が続けば、人道、経済、環境面で壊滅的な影響が生じ、民間人に深刻な被害が及ぶ可能性があり、その影響は今後何年にもわたるだろう。」
ターク氏は、地域を「危機的状況から救う」ためには、新たな外交努力が必要だと述べた。また、イランによる地域各地での攻撃は「人々の間に恐怖と不安を植え付けた」として非難した。
湾岸諸国のジレンマ 報復するか? 外交か?
- サウジアラビア:外務大臣が「必要であれば軍事行動も辞さない」と明確に警告。
- カタール:エミール(首長)がフランス大統領と電話会談。「地域の安全と世界のエネルギー供給を脅かす危険なエスカレーション」と非難。
- 専門家の指摘:湾岸諸国は「イランに報復したい気持ちはあるが、アメリカが突然手を引いたら自分たちが孤立して戦うことになる」と大きな悩みを抱えています(カタールのジョージタウン大学教授)。
世界に与える影響 日本も他人事じゃない
- 南パルスガス田は世界の天然ガス需要の13年分に相当する巨大資源。
- カタールは世界第2位のLNG輸出国(世界供給の約20%)。ラス・ラファンの被害で生産が止まれば、天然ガス価格が急騰し、日本を含むアジア・欧米の電気代・暖房費が上がる可能性大。
- QatarEnergy(カタール国営エネルギー企業)のCEOによると、攻撃によりカタールのLNG輸出能力の約17%(年間約1280万トン)が損なわれ、修理には3〜5年かかる見込み。
- すでに原油・ガス価格は上昇中。専門家は「2ヶ月以上の供給混乱が続く」と予測しています。
イラン革命防衛隊は「エネルギー施設への攻撃は大きな間違いだった」と繰り返し、さらなる攻撃を予告。湾岸諸国は外交解決を望みつつ、軍事対応も検討中です。この戦争は「エネルギー戦争」の新段階に入りました。世界の天然ガス・原油供給が不安定になれば、日本への影響も避けられません。今後の動きを注視する必要があります。
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