ラマダンとは?
ラマダンはイスラーム暦(ヒジュラ暦)で9番目の月を指し、イスラーム教において最も神聖な期間の一つです。この期間、世界中のムスリム(イスラーム教徒)は、日の出から日没まで飲食や喫煙などを控えます。通常は約29~30日間続き、この月は預言者ムハンマドに初めてコーラン(聖典)が啓示された時期としても知られています。
ラマダン期間中、モスクでは特別な「タラウィーフ(Tarawih)」という追加のお祈りが行われ、コーランを毎晩1/30ずつ読み進めるのが一般的です。最終的にはラマダンが終わる頃までにコーラン全体を読み切る人も多くいます。
2025年のラマダンはいつ?
アラブ首長国連邦天文学協会の理事会会長のジャルワン氏によると、「UAEにおける2025年のラマダンは、おそらく2025年3月1日土曜日に始まることになる。」と述べられています。
以上のことからUAEは、2025年の3月中はラマダン期間であると覚えておきましょう。
なぜラマダンは大切なのか?
断食はイスラームの「五行(ごぎょう)」と呼ばれる5つの柱の一つで、イスラームの信仰の基礎となっています。断食期間は祈りや内省、宗教的な勤行を行う大切な時間であり、罪を悔い改めたり、善行によってアッラー(神)に近づく期間でもあります。
イスラームの五行とは?
- 信仰告白(シャハーダ)
アッラーが唯一の神であることと、ムハンマドがその使徒であることを信じる。 - 礼拝(サラート)
一日5回、決まった時間(夜明け前、正午、午後、日没、夜)に祈りを捧げる。 - 喜捨(ザカート)
自分の財産の一部を施しとして慈善活動に使う。UAEをはじめ世界各地で、ラマダン時期には特にチャリティ活動が盛んになる。 - 断食(サウム)
毎年ラマダンの期間、夜明け前から日没までの間、飲食や喫煙を控える。 - 巡礼(ハッジ)
一生に一度はイスラームの聖地メッカ(サウジアラビアの西部)へ巡礼する。
なぜ断食をするのか?
断食はアラビア語で「サウム(sawm)」と言い、「慎む」という意味があります。ラマダン中の断食は、単に飲食や喫煙を控えるだけでなく、「悪い考えや行動、言葉を慎む」という精神的な側面も重要です。
多くの人は「ラマダンは我慢ばかりの期間」と思うかもしれませんが、実際は日没後に家族や友人と集まり、**イフタール(Iftar)**という食事を楽しむことが大きな特徴です。断食によって自制心を学ぶだけでなく、貧しい人々の苦しみを体験的に理解し、他者への思いやりを深める機会でもあります。
断食は全員がしなければならないの?
基本的に、健康な成人のムスリムは断食が義務づけられています。しかし、以下の人は断食を免除される場合があります。
- 小さな子ども
- 妊娠中の女性
- 高齢者や持病のある人など、健康上の理由で断食が難しい場合
- 女性の生理期間中
- 一時的な体調不良の間
一時的に断食を休んだ人は、ラマダンが終わった後に休んだ日数分だけ断食を補うこととされています。
非ムスリムの場合は?
非ムスリムは断食を義務づけられてはいませんが、ラマダン期間中は周囲への配慮が求められます。公共の場所での飲食や喫煙、また大音量の音楽やスキンシップなどは控えるのがマナーです。特に人が多く集まるエリアでは、服装を控えめにするなど、ラマダンの精神を尊重しましょう。
ラマダン中のお店はどうなるの?
ドバイなどでは、ラマダン中でも多くのカフェやレストランが営業していますが、店舗によって営業時間やサービス形態が変わる場合があります。かつては、カーテンや仕切りを使って、店内で食事をする人が見えないようにしていた時期もありました。近年はルールに変更があることも多いので、事前に確認するのがベストです。
また、ラマダン期間中は夜遅くの時間帯が活気づきます。ショッピングモールやレストランは深夜まで営業していることが多いので、夜型のライフスタイルにシフトする人も少なくありません。
ラマダンに関する用語
- イフタール(Iftar): 日没後に断食を解く食事のこと。家族や友人と集まって食事を楽しむ。
- スフール(Suhoor): 夜明け前に行う食事。イフタールに比べてゆったりした雰囲気で、深夜から早朝まで続くこともある。
- ヒラール(Hilal): イスラーム暦の新月を示す細い三日月。ラマダン開始日を予測する際に重要な目安となる。
- スンナ(Sunnah): 預言者ムハンマドの言行や教えのこと。ラマダン中にデーツ(ナツメヤシの実)を食べて断食を解くのもスンナの一つ。
ラマダン中の過ごし方:やっていいこと・いけないこと
やっていいこと(DO)
- コミュニティを楽しむ: 近所付き合いや家族・友人との交流を深める。
- イフタールへの招待を受ける: 食べ物や飲み物を勧められたら感謝を示し、断らずに受け取るのが礼儀。
- オフィスの時短勤務に注意: UAEの労働法ではラマダン中は勤務時間が6時間になる場合がある。
- 夜型の生活を満喫: モールは深夜まで営業していることが多く、深夜までやっているスフールも楽しめる。
- チャリティ活動に参加: ラマダンは寄付やボランティア活動をする絶好の機会。
- 文化に溶け込む: テントでの集まりやモロッコミントティー、ボードゲームなどを楽しんでみる。
- 試しに断食してみる: ムスリムの友人や同僚の体験を理解するきっかけになる。
やってはいけないこと(DON’T)
- 公共の場での飲食や喫煙: 日中は飲食・喫煙が認められない場所があるので注意。
- 露出の多い服装: 公共の場では控えめな服装を心がける。
- 予約を怠る: ラマダン中は夕食時の混雑が予想されるため、レストラン予約は早めに。
- 大声で音楽をかける、汚い言葉を使う: 断食中の人に配慮し、礼儀正しく振る舞う。
- ケンカや口論: ラマダンは平和と静穏を大切にする月なので避けましょう。
- ラマダン期間を楽しまずに過ごす: 多くの在住外国人がこの時期に旅行に出かけますが、実はUAEの文化を体験する絶好の機会でもあります。