以前の記事で、ドバイではエアタクシー(全電動垂直離着陸(eVTOL))の開発企業、ジョビー・アビエーションが2025年末に商業運航を開始する予定だと述べました。
アラブ首長国連邦の首都であるアブダビが採用したエアタクシー開発企業はアーチャー・アビエーション(Archer Aviation)。
カリフォルニア拠点のeVTOL開発企業で、米国当局とのライセンス承認プロセスが最終段階にあることを明らかにし、2025年末までにアブダビで商業運航を開始する予定であると発表。
アーチャー・アビエーション最高商務責任者ニヒル・ゴエル氏は当初はアブダビで運航を開始し、市内の空飛ぶタクシー料金は300~350ディルハム(約15,000円)を目標にすると語っています。
また、首都であるアブダビから他の首長国へのサービスを開始する計画もあり、アブダビからドバイなど需要が高い路線に関しては、800~1500ディルハム(約33,000円~62,000円)の範囲になると語っています。
空飛ぶタクシーは交通渋滞の緩和にも役立ち、アブダビからドバイの移動時間1時間から20~30分に短縮します。
UAEの空を飛ぶためにはFAA(米連邦航空局)の承認を得る必要があり、次にGCAA(UAEの民間航空総局)の承認を得ることでUAEでの商業運航を開始できるようにります。
これはドバイで運航予定のジョビーも共通のプロセスをクリアする必要があります。
日本の採用企業
日本国内では日本航空と住友商事が新たに設立した合弁会社である株式会社Soracleがアーチャーと契約、合意の中にはアーチャーが開発するeVTOLの商用機体「Midnight(ミッドナイト)」の最大100機(5億ドル)の購入権が含まれているといいます。
株式会社 Soracleは、2025年開催の大阪・関西万博で、eVTOLのデモンストレーション運航プログラムの実施を予定しています。
アブダビとドバイで運航する各eVTOLの特徴と概要
ドバイで採用された空飛ぶクルマの開発会社ジョビーとアブダビで採用されたアーチャーの空飛ぶクルマの概要を以下にまとめました。
ジョビー・アビエーション Joby Aviation | アーチャー・アビエーション Archer Aviation | |
---|---|---|
eVTOL機体名 | Joby S4(JAS4-1) | Midnight |
デザイン | 6つの可動プロペラを備えた高効率設計。 垂直離着陸と滑空飛行をスムーズに切り替える機構。 | 翼と8つのプロペラを備えたシンプルな構造。 垂直離着陸と水平飛行の効率的な切り替えを実現。 |
運航予定の首長国 | ドバイ | アブダビ |
最大乗客数 | パイロット + 4 | パイロット + 4 |
最大時速 | 320km/h | 241km/h |
最大航続距離 | 240㎞超 | 160㎞ |
静粛性 | 地上から聞こえる音が60dB以下という非常に静かな運転を実現。 | 騒音レベルを従来のヘリコプターの1/10程度に抑えた設計。 |
日本国内の導入運航企業 | ANA / 野村不動産(国内の運航と離着陸場の検討) | 株式会社Soracle(日本航空と住友商事の合併会社) |
協力パートナー | NASA トヨタ(資金・技術・部品の支援) | ユナイテッド航空 ステランティス |
特徴 | 技術力: NASAとの協力による試験やFAA認証取得に注力。 高い効率性: プロペラデザインにより優れたエネルギー効率を実現。 市場拡大戦略: 世界中のエアタクシーネットワーク構築を計画。 | コスト効率: 生産性を重視したモジュール設計。 安全性: 冗長性の高い設計と多重センサーで信頼性を強化。 協力パートナー: ユナイテッド航空などとの提携で商業運航に向けた準備を進行。 |
離着陸場(バーティポート)
ドバイで運航するジョビーは、第一段階としてドバイ国際空港、パーム ジュメイラ、ドバイ ダウンタウン、ドバイ マリーナから運航を開始する予定で、既にドバイ国際空港での建設は始まっています。
一方、アーチャーはサービス開始当初はアブダビに重点を置く予定だ。
具体的な場所については言及されていないが、「アブダビ国際空港(現在は改称されザイード国際空港)に着陸し、エミレーツ・パレス(アブダビの高級ホテル)まで車で45分から1時間かかる代わりに、アーチャー航空の飛行機で乗れば5〜8分以内に到着する」とアーチャーのゴエル氏は述べています。
エミレーツ・パレスはヘリポートも備わっていることからeVLOTの離着陸場の1カ所として建設される可能性はあるのかもしれません。